農地の納税猶予とは?手続きの流れ利用時の注意点について解説

2023-05-21

相続

農地の納税猶予とは?手続きの流れ利用時の注意点について解説

この記事のハイライト
●納税猶予とは、農地に対する相続税の支払いについて猶予を受けられる制度のこと
●納税猶予を受けるためには、3年ごとに手続きを繰り返す必要がある
●相続人が農業をやめた時点で、猶予されていた相続税の支払い義務が生じる

農地を相続する際の相続税について不安を感じている方はいませんか?
しかし、一定の条件を満たしていれば「納税猶予」の特例が受けられます。
最終的に猶予されていた税金が免除されるケースもあるため、しっかり理解を深めておきましょう。
そこで今回は、納税猶予とはどのような制度なのか、納税猶予を受けるための条件や手続き、適用の際の注意点について解説します。
大阪府大阪市東住吉区で農地を相続する予定のある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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農地の納税猶予とは?適用対象の税金や農地の種類について解説

農地の納税猶予とは?適用対象の税金や農地の種類について解説

農地をはじめ、土地などの不動産を相続する際に気になるのが税金です。
とくに農地は一般的な不動産より面積が広い傾向にあるため、税額が大きくなるのではと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで、知っておきたいのが「納税猶予」の特例です。
納税猶予とは、農業を営んでいた親族などから農地を相続した場合に、一定の条件を満たしていれば納税の猶予を受けられる特例です。
相続人が農業を続ける限り納税が猶予され、相続人が亡くなった際に猶予されていた税金が免除されます。

納税猶予を受けられる農地とは

納税猶予の対象となる、農地の種類について解説します。
納税の猶予が受けられる農地は主に下記の3種類です。

  • 被相続人が農業用に使用していた農地などであること
  • 被相続人が特定貸付けをおこなっていた農地などであること
  • 被相続人が認定都市農地貸付けまたは農園用地貸付けをおこなっていた農地などであること

また、どの種類の農地であっても、下記のいずれかに該当していなければなりません。

  • 被相続人から相続により取得した農地などで遺産分割がされているもの
  • 贈与税納税猶予の対象となったもの
  • 相続の年に被相続人から生前一括贈与されたもの

ここでいう「農地」には、「採草牧草地」や「農地や採草牧草地とともに取得した準農地」も含まれています。
採草牧草地とは、主に耕作や養畜の事業のための採草や家畜の放牧のための採草、あるいは家畜の放牧を目的として使われる土地のことです。
また準農地とは、農地や採草放牧地に該当せず、10年以内に農地や採草放牧地に開発して相続人が農業をおこなうのに適していると市区町村長が証明した土地のことをいいます。

納税猶予が受けられる税金とは

納税猶予の特例が適用されるのは、農地を相続した際の「相続税」です。
しかし、全額が納税猶予されるわけではないので注意してください。
納税猶予が受けられるのは、「相続したすべての財産の相続税評価額」に対する相続税の額と、「農業投資価格」によって算出された相続税額の差額分です。
農業投資価格とは、納税猶予の適用を受ける際に農地などの評価額を算出したものであり、通常の土地の評価額よりもかなり低く設定されています。
農業投資価格は各都道府県ごとに決められているため、具体的な数字については国税庁のホームページで確認してみてください。
また、相続税だけでなく、農地を生前に一括贈与した場合の贈与税も納税猶予の対象となります。

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農地の納税猶予を受けるための要件や手続きとは

農地の納税猶予を受けるための要件や手続きとは

納税猶予を受けるための手続きや要件について解説します。

納税猶予の手続きとは

納税猶予を適用するためにはいくつかの手続きをおこなう必要があります。
また、この手続きは「3年ごと」に繰り返す必要があるので注意してください。
手続き1:証明書の発行
まず、「引き続き農業経営をおこなっている旨の証明書」を取得します。
証明書は、相続する農地があるエリアの農業委員会にて入手できます。
手続き2:税務署への報告
農地の納税猶予の特例をうける旨を税務署へ報告します。
申告書に所定の事項を記入して、相続税の申告期限内に提出しましょう。
なお、この際に納税猶予の額と利子税の額に見合った担保を提供する必要があります。
手続き3:適格者証明書の取得
農業委員会に「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」の発行願いを提出します。
農業委員会によって現地の調査がおこなわれ、適格だと判断されれば適格者証明書が発行されます。
注意点としては、適格者証明書の発行までに数日かかる場合があることです。
スケジュールには余裕を持って手続きを進めましょう。
手続き4:適格者証明書の提出
農業委員会から発行された「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」を、税務署に提出します。
また、適格者証明書とともに税務申告書類や担保関係書類の提出が必要です。
いずれも相続税の申告期限内に提出する必要があるので注意してください。

納税猶予の適用要件とは

相続税の納税猶予を受けるための要件について解説します。
被相続人の適用要件
農地の被相続人側に対する要件は、下記のとおりです。

  • 亡くなる日まで農業を営んでいたこと
  • 生前一括贈与(贈与税の納税猶予)をしていること
  • 亡くなる日まで特定貸付け、認定都市農地貸付け、農園用地貸付けのいずれかをおこなっていたこと

農地の相続税の納税猶予を受けるには、被相続人が上記の「いずれか」に該当している必要があります。
相続人の適用要件
農地を相続する方に対する適用要件は下記のとおりです。

  • 相続税の申告期限までに農業経営をスタートさせ、その後も引き続き農業経営をおこなうこと
  • 被相続人から生前一括贈与を受けていること
  • 相続税の申告期限までに、特定貸付けか認定都市農地貸付けをおこなっていること

納税猶予を受ける相続人は、上記の「いずれか」に該当している必要があります。

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農地の納税猶予の特例を利用する際の注意点とは

農地の納税猶予の特例を利用する際の注意点とは

納税猶予を利用する際の注意点について解説します。

注意点1:農業をやめると利子税が課される

農地の納税猶予は、相続人が農業を続けることを前提とした特例です。
そのため、農業をやめた場合は猶予されていた相続税を支払わなくてはなりません。
その際の注意点は、猶予中に加算されていた「利子税」もあわせて納税する必要があることです。
利子税とは、「税金を延納することに対する利息」や「特例の利用料」のようなものだと考えてください。
利子税の税率は3.3~6.6%で、農地を相続した方が亡くなるまで農業を継続した場合、相続税と同様に免除されます。

注意点2:耕作していなければ納税猶予が受けられない

農地を相続した方がその農地で耕作をしていなかった場合、納税猶予を受けることができません。
耕作がおこなわれていないと判断された時点で納税義務が発生するので注意しましょう。
ただし、病気や災害などで一時的に耕作が困難である場合や、「土地改良事業」といった国や地方公共団体などの事業が理由で耕作ができない場合は、「休耕地」として納税猶予が認められるケースもあります。

注意点3:相続人以外に譲渡した場合は納税猶予が適用されない

納税猶予は、相続人した本人が農地を受け取った場合にのみ適用可能です。
そのため、第三者に農地を譲渡した場合は制度を利用できないという注意点があります。
また、農地の相続人が複数いる場合、納税猶予が適用されるのは農業を続ける方の取得分のみです。

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まとめ

一生涯農業を続ける予定の方であれば、相続した農地の納税猶予は積極的に利用したい制度です。
農業を続けることで最終的に相続税が免除されるため、「猶予」というよりも「控除」に近い制度だといえます。
相続する農地の相続税に不安を感じている方は、まずはご自身が適用要件に該当しているかどうか確認してみてくださいね。
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