2024-01-11
親の遺産分割協議をおこなっている最中に、兄弟姉妹の1人が亡くなってしまうことがあります。
このような状況を「数次相続」といい、通常の相続手続きとは流れが異なるため注意が必要です。
この記事では数次相続の概要や注意点、手続きの方法などを解説します。
大阪府大阪市東住吉区で不動産を相続するご予定の方は、ぜひ参考になさってください。
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数次相続とは、すでに発生している相続の手続き途中に相続人の1人が亡くなり、次の相続が起こることをいいます。
はじめて耳にしたという方も多いかもしれませんが、数次相続は決して珍しいものではありません。
年の近い夫婦が同じ年に亡くなったり、祖父が死亡したあとすぐ父親が亡くなったりするケースが典型例です。
相続が2回発生すると二次相続、3回発生している状況を三次相続と呼び、これらをまとめて数次相続といいます。
たとえば父が亡くなり、相続人である母と息子のAさんが遺産分割協議をおこなっているとします。
遺産分割協議が終わらないうちに母が亡くなると、数次相続が発生している状態となります。
この場合は母の両親(祖父や祖母)も相続人となるため、息子のAさんと母の両親で遺産分割協議をおこなわなければなりません。
数次相続とよく間違われやすいものとして「代襲相続」や「再転相続」が挙げられます。
代襲相続とは、本来相続人となる方が被相続人が亡くなるよりも前に死亡していた場合などに発生します。
たとえば、祖母が亡くなり相続が発生したものの、相続人にあたる母がすでに亡くなっていたとしましょう。
このような場合は、祖母の孫が代襲相続人として、母が相続するはずだった祖父の遺産を引き継げます。
つまり、代襲相続は相続が連続して起こっているわけではないため、数次相続とは内容が異なります。
一方で再転相続とは、一次相続の「熟慮期間(じゅくりょきかん)」が経過する前に、二次相続が発生することです。
熟慮期間とは相続方法を選択できる期間のことで、具体的には「自己のために相続があったことを知ってから3か月」とされています。
数次相続は一次相続の「遺産分割協議」が終わる前に次の相続が発生することなので、両者は同じではありません。
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冒頭でも触れたように、数次相続が発生すると通常の相続とは異なる手続きが必要です。
いざ数次相続が発生して慌てないためにも、事前に注意点を確認しておきましょう。
一次相続において、相続人に課された相続税の申告および納税義務は、二次相続の相続人にも引き継がれます。
たとえば、母が亡くなり遺産分割協議を進めている途中に、相続人である長女も亡くなったとします。
この場合は、長女がおこなうはずだった相続税の申告・納税を、長女の夫と子どもがおこなわなければなりません。
被相続人の財産に対する相続権と同時に、申告・納税の義務も引き継ぐと考えると良いでしょう。
本来であれば相続税は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に納付しなければなりません。
しかし、相続税を申告するはずだった方が申告前に亡くなった場合は、相続税の申告期限が延長されます。
具体的には「納税義務者の死亡を知った日の翌日から10か月以内」に申告をすれば良いとされています。
ここで注意したいのが、申告期限の延長は一次相続でも二次相続でも相続人になる方に限られる点です。
一次相続で相続人にならず二次相続で相続人になった方の場合は、申告期限が延長されない点にご注意ください。
数次相続であっても、通常の相続と同じように相続放棄が可能です。
相続放棄とは、はじめから相続人でなかったものとみなし、財産の相続権を放棄する制度です。
相続では現金不動産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継がなければなりません。
プラスの財産よりもマイナスの財産のほうが大きければ、相続放棄をするのも選択肢の1つでしょう。
なお数次相続では、一次相続と二次相続それぞれについて相続放棄と相続の承認ができます。
たとえば、祖母が亡くなってすぐに相続人である父も亡くなったとしましょう。
この場合は、祖父の財産と父の財産それぞれに対して相続放棄および相続の承認ができます。
ただし、父の財産に対する相続権を手放して、祖父の財産だけを承認することはできません。
父の相続を放棄した時点で相続人ではなかったと扱われ、祖父の相続で相続人になる権利を失うためです。
また、相続放棄をするには、ご自身が相続人であることを知った日から3か月以内に申請しなければなりません。
3か月を過ぎてしまうと、借金や未払金などマイナスの財産もすべて相続することになります。
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不動産を相続する際に数次相続が発生したら、どのように手続きをすれば良いのでしょうか。
最後に、不動産相続で数次相続が発生した場合の手続き方法について解説します。
相続が発生して遺産分割協議が必要となったら、まず相続人と相続財産を確定させましょう。
相続人は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本で確認することが可能です。
数次相続においては、一次相続だけでなく二次相続における相続人も確定しなければなりません。
誰か1人でも欠けた状態でおこなわれた遺産分割協議は無効となるためご注意ください。
相続人と相続財産を確定させたら、遺産分割協議を始めます。
遺産分割協議を成立させるには相続人全員の同意が必要ですが、必ず同じ場所に集まって協議する必要はありません。
相続人が遠方におり会うのが難しい場合は、郵送や電話などで連絡を取り、合意を得られれば良いとされています。
遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成して協議で決めた内容をまとめましょう。
遺産分割協議書は被相続人別に作成しても、一次相続と二次相続でまとめて作成しても問題ありません。
ただし、まとめて作成する場合は被相続人情報の下部に「数次相続の経緯」を記載する必要があります。
別々に作成する場合にも、肩書きの書き方には注意が必要です。
二次相続における被相続人は、一次相続においての相続人でもあるため、肩書きを「相続人兼被相続人」とします。
また相続人としての立場が重複する場合は、肩書きを「相続人兼○○の相続人」と記載しなければなりません。
遺産分割協議を終えたら、不動産を相続する方が相続登記をおこないます。
相続登記とは、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きのことです。
本来であれば、まず一次相続の登記をおこない、次に二次相続の登記をおこなわなければなりません。
しかし数次相続では、中間の相続人が単独相続である場合に限り、当初の名義人から最終の名義人へと直接名義を変更できます。
これを「中間省略登記」と呼び、登記の手間が省けるほか、登録免許税を節約できる点がメリットです。
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数次相続とは、すでに発生している相続の遺産分割協議が終わる前に、次の相続が発生することです。
数次相続では、相続税の申告期限や遺産分割協議の記載方法など、一般的な相続とは異なる部分が存在します。
ご自身で手続きするのが難しいと感じる場合は、専門家に相談しながら進めていくと良いでしょう。
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