2024-08-20
相続が発生すると、相続人は申告期限までに相続税を納めなければなりません。
相続税を納めすぎていた場合、手続きによって還付される可能性があることをご存じでしょうか。
そこで今回は、なぜ相続税を多く納めてしまうのか、相続税の還付を受けるために必要な手続きの期限や流れ、相続税が還付された事例について解説します。
大阪府大阪市東住吉区で、遺産を相続された方は、ぜひご参考になさってください。
\お気軽にご相談ください!/
まずは、相続税の還付とはどういうことなのか、制度に関する基礎知識について解説します。
被相続人の財産を相続した方は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告・納税をおこなわなければなりません。
短期間で税金を計算し、手続きする必要があるため、場合によっては税金を多く納めてしまうことがあります。
そのような場合、税務署に申請すると、納めすぎていた税金が現金で戻ってくる場合があるのです。
これが、相続税が還付されるということです。
そもそも、なぜ納付済みの相続税の還付を受けられるのか、その理由として、以下のようなことが挙げられます。
相続税は自己申告で納税するため
相続税は、相続税の申告期限までに、相続人が自分で申告手続きをおこなわなければなりません。
申告した税額については、適正に計算されたものとして税務署では処理されます。
もし相続税を納めすぎていたとしても、税務署から確認の連絡はきません。
つまり、計算ミスをしていたり、財産の評価が間違っていたりしても通知はこないため、過払いが発生することも少なくないのです。
ただし、申告した額の不足がないかの調査はおこなわれるため、不足分が発覚した場合は徴収されます。
土地の評価は複雑であるため
現金や預貯金のみを相続した場合、その額面どおりに相続税を計算するため、税額の誤りが発生することはあまりないでしょう。
しかし、土地の場合は評価が複雑で、形状や奥行き、周辺の環境などに応じて、補正する必要があります。
土地の評価を依頼した税理士によっても差が生じる場合があり、相続税を計算する際に用いた評価額が高すぎたということもあるのです。
遺産分割によって相続額が変わったため
被相続人の財産を、複数の相続人で分割する場合、遺産分割協議をおこなって分割方法や割合を決めることがあります。
遺産分割協議は、相続人全員の合意のもと成立しますが、相続人間で意見が食い違うことも多く、相続税の納付期限までに話がまとまらないこともよくあります。
しかし、相続税の納付期限を過ぎると無申告加算税が課されるため、ひとまず共有名義や、法定相続分で相続するケースも少なくありません。
そして相続税の納付後、遺産分割協議が成立し、実際に取得した財産が申告時の課税価格と異なる場合、相続税額にも差が生じます。
課税価格が当初の相続分より少ない場合は、相続税が減ることになるため、申告することによって納めすぎた相続税を戻してもらえるのです。
▼この記事も読まれています
相続した不動産はどう売却する?売却までの流れと注意点
\お気軽にご相談ください!/
相続税の還付は、税務署に申告することで可能になります。
そこで次に、相続税還付の手続きの期限と流れについて解説します。
相続税の還付は、まず税務署に「更正の請求」をおこなう必要があります。
ただし、「相続税の申告期限から5年以内におこなうこと」という期限が定められています。
相続税の申告期限は、先述のとおり、相続の開始を知った日の翌日から10か月であるため、相続開始日から考えると5年10か月がタイムリミットです。
なお、相続税の還付額は、申請した方の状況によって異なりますが、納税した額の約20%は返還される可能性があります。
相続税の還付を受けるためには、以下のような流れで手続きをおこないます。
相続税の申告をおこなった際に提出した書類を再確認し、土地などの評価額が申告時より低い場合は、税金を納めすぎていることになります。
ただし、個人で判断するのは困難であるため、申告時の評価額に疑問を感じたら、相続税を専門に扱う税理士に再調査を依頼しましょう。
その結果、申告時の評価額が高すぎたことが判明した場合は、税務署に「更生の請求」の手続きをします。
その際には、現地調査が必要です。
そのうえで、更正の請求書とともに、適正な土地の評価額や現地の写真、評価の根拠をまとめた資料などを提出しなければなりません。
更生の請求が受理されると、税務署の審査がおこなわれます。
審査には3か月程度を要しますが、相続税の過払いが認められると、「更正通知書」が郵送され、その約1か月後に返還される税額が記載された「国税還付金振込通知書」が届きます。
実際に税金が戻ってくるのは、それから約2週間後です。
指定した口座に振り込まれるため、通知書に記載されている金額と合っているか確認しましょう。
▼この記事も読まれています
空き家を相続したら管理が必要!空き家を放置するデメリットやリスクとは?
\お気軽にご相談ください!/
相続税の還付が成功した事例としては、土地の評価に関することが挙げられます。
そこで最後に、土地の相続税の還付が成功した2つの事例について解説します。
広大地とは、そのエリアの標準的な宅地の面積に比べて、著しく面積が広大な宅地のことです。
広大地であると判断されると、土地の評価額が減額されるため、相続税が安くなります。
広大地で相続税の還付を受ける際は、以下の条件を満たす必要があります。
たとえば、隣接した2つの土地を相続し、個別に土地の評価をおこなって相続税を納めたとします。
しかし、その2つの土地を区画するものがなければ、1つの広大地として評価され、評価額が減額されることによって、相続税が還付されたという事例が挙げられます。
ただし、平成29年の税制改革により、「広大地」は「地積規模の大きな宅地」に変更されました。
条件に違いは生じていますが、改正後の「地積規模の大きな宅地」に適用されれば、相続税の還付を受けられる可能性があります。
土地にはさまざまな形状があり、使い勝手の悪い土地は、評価が下がるため、相続税額を抑えることができます。
不整形地の典型として挙げられるのは、旗竿地です。
旗竿地とは、間口の狭い道路の奥に、広い土地がある、旗のような形状の土地です。
旗竿地は、一戸建てを建てる際に建築費が高くなるうえに、日当たりが悪いなどデメリットが多いため、土地の価値が低くなる傾向にあります。
そのような土地は、評価額を補正して調整されるため、納税後に不整形地であると判断されて、相続税が還付された事例もよくあるのです。
▼この記事も読まれています
不動産の相続によって発生する税金とは?税額の計算方法や税金対策も解説!
相続税を納めすぎていたことが発覚した場合、更生の請求をおこない、税務署にその内容が認められると、相続税の還付を受けられる場合があります。
ただし、更生の請求は、相続税の申告期限から5年以内に申請しなければなりません。
とくに、土地の場合は、広さや形状によって評価額が減額される可能性があるため、申告内容に疑問を感じた場合は、専門家である税理士に相談してみることをおすすめします。
東住吉区の不動産のことならインテリジェンスへ。
地域密着型で約80年の東住吉区を中心とした売買実績があります。
お客様に寄り添ったご提案をさせていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
この記事のハイライト ●相続開始後は遺産分割協議や名義変更などを経て売却する●遺産分割協議とはどの財産を誰がどのくらいの割合で相続するのかを決める話し合い●相続した不動産を...
2022-08-22
この記事のハイライト ●納税猶予とは、農地に対する相続税の支払いについて猶予を受けられる制度のこと●納税猶予を受けるためには、3年ごとに手続きを繰り返す必要がある●相続人が...
2023-05-21
この記事のハイライト ●課税標準額が30万円未満の土地は固定資産税がかからない●固定資産税が非課税の土地であっても相続税や登録免許税などは発生する●相続放棄をするとすべての...
2023-05-26
この記事のハイライト ●不動産を相続すると登録免許税と相続税が発生する可能性がある●登録免許税と相続税は計算方法を知っていると税額の目安がわかる●相続税には節税につながる控...
2023-10-07