2024-03-14
任意売却をおこなう際、「ハンコ代」という費用が発生する場合があります。
任意売却時のハンコ代にはルールがあるわけではありませんが、事前に概要を知っておくと安心です。
そこで今回は、任意売却時に必要なハンコ代とはなにか、相場や発生するケースについて解説します。
不動産の任意売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
\お気軽にご相談ください!/
「ハンコ代」について解説する前に、まずは任意売却の基礎知識について確認しておきましょう。
住宅ローンを利用して不動産を購入した場合、金融機関はその不動産に対して「抵当権」を設定します。
抵当権とは、いわば担保のことで、住宅ローンの返済ができなくなった場合に、金融機関はその不動産を競売によって売却し債権を回収するのです。
住宅ローンが残っている不動産を売却する場合は、残債を完済して抵当権を抹消しなければなりません。
不動産の売却代金で残債を完済できる「アンダーローン」であれば、問題なく通常の不動産売却をおこなえます。
売却しても債務が残ってしまう「オーバーローン」の場合は、金融機関の同意を得たうえで抵当権を外してもらう必要があります。
この売却方法が、任意売却です。
すべての抵当権を外さなければならない
住宅ローン以外に、不動産を担保にしてお金を借りることもあります。
その場合は、複数の抵当権が不動産に設定されていることになります。
任意売却をおこなうためには、すべての抵当権者に抵当権を外してもらわなければなりません。
その際には、債権者が「ハンコ」を押した書類を法務局に提出する必要があります。
ここで登場するのが、ハンコ代です。
ハンコ代とは、登記簿から抵当権を抹消するために、債権者にハンコを押してもらうために支払うお金です。
担保権を解除してもらうという意味で、「担保解除料」ともいいます。
任意売却で得たお金は、抵当権を設定した順に配当されます。
第1抵当権者となるのは、通常、住宅ローンを契約した金融機関です。
そのあと、複数の債権者から融資を受けた場合は、その順番で第2抵当権者、第3抵当権者と続きます。
任意売却は、オーバーローンの状態でおこなうため、住宅ローンを融資した金融機関でも、残債のすべてを回収できないケースがほとんどです。
たとえば、住宅ローンが1.000万円残っており、第2抵当権者と第3抵当権者の債権がそれぞれ500万円ずつあったとします。
任意売却によって1,200万円で不動産が売却できた場合、第1抵当権者に全額、第2抵当権者には債務の500万円のうち200万円だけが配当され、第3抵当権者の配当はゼロです。
不動産が800万円でしか売れなかった場合は、第1抵当権者でも債権を全額回収できず、第2抵当権者と第3抵当権者にいたっては1円も回収できません。
つまり、オーバーローンである不動産を任意売却しても、第1抵当権者以外の債権者にメリットはないのです。
しかし、すべての債権者に同意してもらわないと、任意売却はおこなえません。
そこで、任意売却によって恩恵を受けられる第1抵当権者が、後順位抵当権者にお金を支払って任意売却に同意してもらうことがあります。
このときに支払うのが、ハンコ代なのです。
▼この記事も読まれています
擁壁のある不動産は買取がおすすめ?売りにくい理由や売却方法を解説
\お気軽にご相談ください!/
ハンコ代は、債務者が負担しなければならないため、どれくらいの費用がかかるのかを知っておく必要があります。
そこで次に、複数の債権者がいる場合の任意売却時にかかるハンコ代の相場について解説します。
ハンコ代の金額については、とくに規定はありません。
当事者同士で話し合って決めることができますが、規定がないからこそトラブルもよく起こります。
先述したように、後順位抵当権者にとって、任意売却に同意してもあまりメリットはありません。
任意売却に同意せず、競売になっても、状況は大きく変わるわけではないためです。
しかし、第1抵当権者にとっては、競売より任意売却のほうが高く売却できるため、回収できる債権も任意売却のほうが多くなります。
そのため、第1抵当権者はハンコ代がかかっても任意売却を進めたほうがメリットを得られます。
こういった事情から、第1抵当権者に多額のハンコ代を要求する後順位抵当権者もいるかもしれません。
そこで、住宅金融支援機構が、債権者同士のトラブルを防ぐために、ハンコ代の目安を示しています。
ハンコ代は、売却金額に応じて変動するものではなく、たとえ数億円で売却できたとしても、最大で30万円が目安です。
住宅金融支援機構以外の金融機関も、上記の金額を目安にしているため、住宅金融支援機構が示す目安が任意売却時のハンコ代の相場と考えて良いでしょう。
▼この記事も読まれています
二世帯住宅は不動産買取がおすすめ?売却しにくい理由や売るためのコツ
\お気軽にご相談ください!/
任意売却をおこなう際、ハンコ代はかならず発生する費用ではありません。
そこで最後に、ハンコ代が発生するケースと、発生しないケースについて解説します。
ハンコ代は、任意売却での配分として支払われるお金です。
債権者が複数人おり、任意売却をしても、それぞれの債権者に債務のすべてを返済できない状況のときに発生します。
もし債権者のうちのだれかが任意売却に同意せず、抵当権を抹消してくれなかった場合、最終的には競売に進みます。
競売に進むと、市場相場より安い価格で買い叩かれるため、債権者に返済できるお金が減り、競売後にも多額の借金が残るでしょう。
しかし任意売却であれば、市場相場に近い価格での売却が望め、債務者にとっても多くのメリットが得られます。
したがって、ハンコ代は債権者が複数人いる場合に、任意売却を円滑に進めるために重要な役割を果たすのです。
債権者が1人しかいない場合は、任意売却で得たお金からその1人に対してのみ返済します。
したがって、この場合、ハンコ代は発生しません。
また、債権者が複数人おり、債務の合計額以上の金額で不動産が売却できる場合も、それぞれに返済できるため、ハンコ代は必要ありません。
とはいえ、任意売却は、オーバーローンのときに不動産を売却する方法です。
オーバーローンであるということは、第1抵当権者である金融機関にも、すべての債務を返済できない状況です。
このような状況で、売却代金が債務の合計額以上の金額になるとは考えにくいでしょう。
そのため、債権者が複数人いる不動産の任意売却をおこなう場合は、ハンコ代が発生するものと考えておく必要があります。
▼この記事も読まれています
任意売却ができないケースとは?任意売却ができないとどうなる?
任意売却時には、すべての抵当権者の同意を得て、抵当権を外してもらわなければなりません。
しかし、債権を回収できない後順位抵当権者にとっては、任意売却でも競売でも状況は変わらないため、抵当権を外す手続きをスムーズにおこなってくれない場合があります。
そのような場合、ハンコ代を支払うことで同意してもらえる可能性があるため、配分について慎重に話し合い、円滑な売却を目指しましょう。
東住吉区の不動産のことなら「インテリジェンス」へ。
地域密着型で約80年の東住吉区を中心とした売買実績があります。
お客様に寄り添ったご提案をさせていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
この記事のハイライト ●現状渡しとは建物の欠陥を修理せずにそのままの状態で売却すること●修繕費がかからず早期売却が可能などのメリットがある●欠陥を見落とす可能性があるため現...
2022-08-08
この記事のハイライト ●離婚に伴う不動産売却は離婚後に進めるほうが良い●不動産の売却方法は離婚時の状況に応じて選択する●仲介の際に不動産会社と結ぶ媒介契約には3つの種類があ...
2022-08-15
この記事のハイライト ●住宅ローンが返済不可になる前に金融機関に相談することが大切●住宅ローンを滞納したからといってすぐに競売にかけられるわけではない●任意売却は競売よりも...
2022-08-29
この記事のハイライト ●資産性のない不動産のことを「負動産」という●負動産を相続放棄すると、ほかの財産もすべて相続できなくなる●売却しにくい負動産を手放すには買取がおすすめ...
2022-10-07