2024-07-28
不動産を売却するとき、築年数の古い物件は価値が下がるのが一般的ですが、これは建物の「耐用年数」を一つの目安にしているからです。
この「耐用年数」は、売却後の税金を申告する際におこなう「減価償却」にも関わります。
そこで今回は、不動産の売却に影響する「耐用年数」とはなにか、税金の計算に必要な「減価償却」との関係について解説します。
大阪府大阪市東住吉区で、不動産売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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まずは、「耐用年数とはなにか」といった基礎知識から解説します。
建物は、築年数が経つにつれて劣化し、その価値も年々減少していきます。
そして、最終的には建物としての価値がなくなります。
耐用年数とは、新築の建物を購入してから価値がなくなるまでの期間のことです。
耐用年数は、建物の種類などに応じて法律で定められています。
そして、定められた耐用年数に達したとき、建物の価値はほぼゼロとなるのが、法律上の考え方です。
耐用年数には、以下の3つの種類があります。
それぞれの概要について、順番に解説します。
物理的耐用年数
物理的耐用年数とは、文字どおり、劣化によって物理的に使用できなくなるまでの年数のことです。
不動産で使われることはあまりなく、電化製品やバッテリーなどの寿命を指すことが多いです。
法定耐用年数
法定耐用年数とは、国が設定している基準のことで、税務上、固定資産の減価償却をおこなうときに必要な耐用年数を指します。
物理的耐用年数と混同されやすいですが、あくまでも税務上の年数です。
したがって、法定耐用年数が過ぎたら使用できないというわけではありません。
経済的耐用年数
経済的耐用年数とは、対象の建物について、不動産市場でどれくらいの期間経済的価値があるのかを表す耐用年数です。
不動産の価値は、物件の状態だけでなく、立地条件や間取り、見た目、メンテナンスなどによっても異なります。
上記のうち、物理的耐用年数は、材質や使用状況によって差が生じます。
また、経済的耐用年数は、公平性に欠けるため、不動産の売却では、「法定耐用年数」を基準にするのが一般的です。
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不動産の売却には、法定耐用年数が影響することを前章で解説しましたが、建物構造によって耐用年数は異なります。
そこで次に、建物構造別の法定耐用年数について解説します。
一般的な住宅の売却で影響するのは、主に以下の3種類です。
それぞれの法定耐用年数について見ていきましょう。
一戸建て住宅の法定耐用年数は、22年です。
たとえば、4,400万円で購入した新築の一戸建ての場合、22年で資産価値がなくなると設定されているということです。
したがって、毎年200万円ずつ資産価値が減っていく計算になります。
マンションの法定耐用年数は、47年です。
木造一戸建ての2倍以上の耐用年数が設定されています。
これは、マンションの場合、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造のものが多く、木造より強度があるためです。
つまり、資産価値の減少が、木造より緩やかであるといえます。
木造アパートの法定耐用年数は、20年です。
アパートの場合、木骨モルタル造のものが多く、同じ木造でも一戸建てより資産価値が減少するのが早いとされています。
このように、建物の構造によって、法定耐用年数が異なります。
しかし、法定耐用年数が過ぎたからといって、住めないわけではありません。
修繕やメンテナンスをしっかりおこなうことで、耐用年数を延ばすことは可能です。
ただし、次章で解説する「減価償却」に用いられる耐用年数は、上記の法定耐用年数が基準となることを頭に入れておきましょう。
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不動産の売却で「法定耐用年数」が重要になるのは、売却後に税金の計算をするときです。
不動産を売却して譲渡所得(利益)を得ると、その金額に対して所得税と住民税が課されます。
譲渡所得は、不動産の売却代金から、取得費(不動産の購入代金や購入時の諸費用など)と、譲渡費用(売却時にかかった費用)を差し引いたものです。
法定耐用年数が影響するのは、「取得費」です。
土地は経年劣化しないという考えから、購入代金がそのまま取得費になります。
しかし、建物については、購入時の価格ではなく、「減価償却費」を差し引いた金額を取得費として計上します。
先述したように、建物は年数とともに劣化していくため、資産価値は下がっていきます。
資産価値が年数とともに減少していくものについては、購入代金を取得費として一度に計上するのではなく、一年に一定額ずつ減少した価値を計上します。
この手続きを「減価償却」といい、減少した価値を金額で表した数字が「減価償却費」です。
減価償却費は、「建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数」で算出します。
この計算方法で用いる償却率は、法律で定められています。
償却率とは
「償却率」とは、建物の価値が1年ごとにどれくらい減っていくのかを表すものです。
建物の資産価値がなくなる期間を定めた「法定耐用年数」に応じて定められています。
建物の構造別の償却率は、以下のとおりです。
なお、償却率については国税庁のホームページでご確認ください。
経過年数とは
「経過年数」とは、不動産を購入してから売却するまでの所有期間です。
所有期間について、1年未満の端数は、6か月以上が1年、6か月未満は切り捨てます。
たとえば、5年4か月所有していた場合、経過年数は5年となります。
先述のとおり、土地に対して減価償却はおこないません。
したがって、土地付き一戸建て住宅の取得費を計算する場合は、土地と建物の価格を分け、建物の価格のみ減価償却費を差し引きます。
たとえば、土地が3,000万円、建物が2,000万円で、合計5,000万円で購入した土地付きの木造一戸建て住宅を10年で売却する際の取得費は、建物のみ以下のように減価償却費を差し引きます。
建物の減価償却率:2,000万円×0.9×0.031×10年=558万円
したがって、この場合の取得費は、「5,000万円-558万円=4,442万円」となります。
このように、建物の耐用年数は、減価償却の計算に用いる償却率に関係しています。
不動産売却後に課される税金は、取得費や譲渡費用を漏れなく計上し、売却代金から少しでも多く差し引くことで節税が可能です。
売却したい不動産の法定耐用年数に応じて償却率を確認し、ぜひご自身でも計算してみてくださいね。
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建物は、築年数が経過するについて劣化していくという考えから、「法定耐用年数」が定められています。
法定耐用年数は、不動産を売却して得た譲渡所得の計算に用いる取得費に関わる項目です。
売却後の税金がどれくらいかかるのかを把握するためにも必要なことであるため、ぜひ理解を深めておきましょう。
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地域密着型で約80年の東住吉区を中心とした売買実績があります。
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